知って得する日本人の ”すみません” 文化

Poste date: 2021年2月17日

この記事は、東京中央日本語学院様から寄稿していただいたものです。

こんにちは。日本語教師のYukiです。

日本で生活していると、あちこちから聞こえてくる「すみません」という言葉。英語に直訳すると「I'm sorry」なわけですが、私たち日本人は日頃からこの言葉を無意識に多用しています。

そのため、世界の国々の人たちからは、ー日本人はとにかくいつも謝っているーと思われがちです。

でも、あなたの周りの日本人が「すみません」と言ったとき、「なんで謝るの?」「すぐに謝るのは日本人の悪い癖じゃない?」と言うのは

ーーちょっと待った!!ーー

です。 実はこの「すみません」という言葉、意外と奥深いんです。

さて、それでは日本人がどういうときに ”すみません” という言葉を使うのか、いくつかのシチュエーションと共に見ていきましょう。 

”すみません” の使用例 - その1

 

 

・約束の時間に遅れてしまった

・大事な資料をなくしてしまった

・電車の中で隣の人の足を踏んでしまった

 

こんなときの「すみません」は、当然 ”ごめんなさい” を意味しています。

ー 悪いことをしたからごめんなさい。

ー 人に迷惑をかけたからごめんなさい。

つまり、謝罪の ”すみません” です。

「申し訳ありません」という言葉もよく使いますが、意味は同じ謝罪です。これはとてもシンプルでわかりやすい使い方ですね。

”すみません” の使用例 - その2

 

さて、次はこんな ”すみません” 。

・人に声をかける

・道に迷ってしまったので、近くにいる人に道を聞く

・レストランでホールスタッフを呼ぶ

 

そんなときにも、日本人は「あの、ちょっとすみません」とか、手を上げて大きな声で「すみませーん」と言います。この ”すみません” は、 ”ごめんなさい” ではありません。場面から想像できるでしょうか? 

そう、これは相手への呼びかけです。もっとくだけた言い方でいうと、「ねえねえ」と相手に声をかけているんです。

”すみません” の使用例 - その3

 

 

そして、 ”すみません” はこんなときにも使います。

・取引先や近所の人からお土産をもらった

・同僚や先輩が仕事を手伝ってくれた

・前にいた人がドアを開けてくれた

・電車で席を譲ってもらった

 

こんなとき、あなたなら何と言いますか? きっと「ありがとう」と言いますよね。ところがこんなときでさえも、日本人は「すみません」という言葉が自然に出てしまいます。この ”すみません” は、”ありがとう” …つまり感謝の 意味で使われています。もちろん、「ありがとう」もよく使っている言葉です。

でも、相手が目上の人や仕事関係者、初対面の人の場合、私たちはすかさず「すみません。ありがとうございます。」なんて言い方をしてしまったりするわけです。他の国の方からすれば、「謝ってんの? 感謝してんの? どっちなの?」と思ってしまいますよね(笑)

なぜ日本人は 「すみません」と言ってしまうのか?

さて、ではなぜ、日本人は感謝の気持ちを伝えるときでさえ ”すみません” と言ってしまうのでしょうか? 

それは、日本人の細やかな心遣いからくるものだと思います。

「私のために、あなたの貴重な時間を使わせて、負担をかけさせてしまって申し訳ありません。でも、私はあなたにとても感謝しています。」

こんな思いから生まれた、日本文化のひとつなのだと考えられます。

”日本人らしい相手への気遣いや労いの心の表れ…”

そう聞くと、「 “すみません” って、なかなかいい言葉じゃない?」って思えてきませんか?

まとめ

今回は 、“すみません” の「謝罪」「呼びかけ」「感謝」の3つの使い方を紹介しました。

この他にも、“すみません” が別の意味で使われている場面は意外とあります。こうして改めて考えてみると、この ”すみません” という言葉、「実は便利」なのかもしれません。もし、これからあなたが「すみません」という日本人の言葉を聞いたとき、「なんで日本人ってすぐにすみませんって謝るんだろう?」と思う前に ーー今の ”すみません” は、何の ”すみません” なのかな?ーー と考えてみてください。

状況で使い分けているだけですから、意味はきっと簡単に推測できるはずです。意味や使い方がわかったら、今度はぜひ、あなた自身が ”すみません” を使ってみることをおすすめします。

この日本文化に根付いている “すみません” という言葉、使いこなせれば、日本人との距離がグッと縮まること間違いなしです。

ーーあっ、最後にひとつだけお願いがあります。

もしあなたが、あなたの国を訪れている日本人の落とし物を拾ってあげたとします。もしかしたら、その日本人はつい「I'm sorry」と英語で言ってしまうかもしれません。そのときは、「あ、これは “ありがとう” って言いたかったんだな(笑)」と思って、

「そういうときは “Thank you” って言うんだよ。」って、そっと教えてあげてくださいね。

 



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