品川-田町間の新駅開業、周辺の再開発計画
JR東日本は2014年6月3日、同社内部で「品川新駅」として検討を進めていた計画をついに明らかにした。
東京五輪が開催される2020年、山手線の品川―田町駅間に30番目となる新駅が開業するというもの。
予定地の周辺は、同社の車両基地(旧田町車両センター)となっているが、品川駅から北に約0.9km、田町駅から南に約1.3km離れた地点に山手線と京浜東北線がそれぞれ停車する新駅となる。
JR東日本 プレスリリースより
■六本木をヒルズしのぐ国際的な交流拠点の創出
新駅の設置とともに、車両基地の西半分に当たる約13ha(ヘクタール)の広大な敷地を再開発して、国際的な交流拠点を形成する。六本木ヒルズの11.6haや東京ミッドタウンの10.2haをしのぐ規模だ。JR東日本が事業主体となる可能性が高いものの、「詳細は今後、国や東京都などと協議して詰めていく」(同社広報部)としている。
品川駅はJR東海が2027年の開業を目指すリニア中央新幹線のターミナル駅になる。国際化が加速する羽田空港にも近く、新駅の設置と合わせて、周辺の景色は一変しそうだ。
■駅周辺の活性化と成長のためのまちづくり
JR東日本によると、新駅の駅前には駅と周辺の街や地域とをつなぐ歩行者用のデッキを地上2階の高さに設ける。同社が新駅のイメージとして公表したパースによると、駅全体を覆うように大屋根を架ける計画がある模様だ。
JR東日本 プレスリリースより
ただし、まちづくり計画を含めた都などとの協議はこれから。また、新駅は2020年の東京五輪までに開業するものの、暫定開業となる可能性が高い。
新駅から300mほど離れた場所には、都営浅草線・京急線の泉岳寺駅がある。JR東日本の冨田哲郎社長は6月3日の記者会見で「(乗り換えの)連絡手段を考えたい」と語った。
品川駅の西側にある高輪口周辺も、新駅の設置に伴う周辺の再開発によって、大きく変わる可能性。また周辺幹線道路の整備計画も加速する見込みである。
JR東日本が今回、新駅の設置を初めて公式に発表したことを受けて、太田昭宏国土交通大臣は「地域の活性化や成長につながる大事なプロジェクトだ」とコメントし、期待を寄せた。
品川駅・田町駅周辺まちづくりガイドライン より抜粋
■ 駅周辺地価の上昇傾向とその背景
品川、高輪、芝浦を中心したエリアは昨年に2020年の東京オリンピック開催、羽田空港への新線計画等、ビックプロジェクトが相次いで発表され、それを受けて昨年から地価が上昇傾向に転じている。上記の新駅設置と周辺の再開発の発表を受けてこの地区の地価上昇が続くことが予想される。
主な要因としては、品川・田町の中間あたりのエリアの物件は駅が近くなる事と、再開発により、新駅周辺のインフラが整い、病院、公園、保育施設、商店街などの生活関連施設が誘致され、暮らしやすくなる事があげられる。
また今回の再開発エリアは、国際便が拡大している羽田空港にも近いことから11年12月に国の「国際戦略総合特区(アジアヘッドクォーター特区)」に指定された。国は特区で働く外国人の入国審査などに関する規制を緩和、都は特区内の企業の法人事業税の減免などで、外資系企業の誘致を図っていく。
新駅は同エリアの利便性を高める要となる。 また、品川駅が27年にはリニア中央新幹線で名古屋まで40分で行ける東京の新たな玄関口となるが、新駅は所要約2分の最も近いJR駅となる。