2021年東京都内基準地価 - 商業地で9年ぶり下落 都心5区など繁華街での下落目立つ
9月21日、国土交通省は全国基準地価を発表、同日に東京都は都内の基準地価を発表した。全用途平均では前年比0.1%上昇し9年連続の上昇を維持したが、前年の0.6%の上昇からはさらに伸びが鈍化した。商業地は0.3%下がり、9年ぶりの下落となった。新型コロナウイルスの影響で、飲食業や観光業が厳しく、銀座や新宿などの主要商業地が下落率の上位を占める結果となった。
*基準地価(後に詳細説明)とは、7月1日時点の基準地点ごとに調査された、1平方メートルあたりの土地の価格のこと。
商業地
商業地は都内全体で前年の1.3%の上昇から-0.3%とマイナスに転じた。東京23区でも前年比-0.3%となり、前年の1.8%の上昇からマイナスに転じた。 「都心5区」の下落率が目立ち、平均で1.3%の下落。区別の下落率は中央区が-1.9%で最も多く、新宿区が-1.8%、千代田区が-1.2%の下落となった。下落率のランキングでは、中央区銀座の商業地が下落率の2位3位を占め、新宿区の商業地が歌舞伎町で下落率1位(-10.1%)の他、同トップ5(23区内)に3地点が入った。
一方、外出自粛により自宅近くで買い物を済ませる動きに伴い、地価が上昇した地域がある。
3月に池上駅の駅ビルが開業したことで需要が拡大した大田区池上6丁目(前年比3.3%上昇)や、JR中野駅北口の再開発への期待感が押し上げた中野区中野5丁目(同2.7%上昇)が区部のトップ1位と2位を占めた。
全国で地価の最高値を付けたのは16年連続で中央区銀座2丁目の明治屋銀座ビルだが、1平方メートル当たり3950万円と3.7%下落し(昨年4100万円)、2年連続のマイナスとなった。
住宅地
住宅地の上昇率は前年比0.2%で前年と変わらなかった。区部全体でみると、23区すべてで上昇はしたが、平均変動率は0.5%と、前年の1.4%から上昇幅が縮小した。このうち最も高い上昇率が、品川区の1.9%で、港区と台東区が1.8%上昇でこれに続いている。
23区内で上昇地点の1位となったのが、江東区有明1丁目で3.4%上昇した。20年8月に商業施設「有明ガーデン」の開業で需要が高まった。同3年に開業の高輪ゲートウェイ駅から近い港区芝浦4丁目も2.6%の上昇となった。また下落地点の順位として、下落率1位の世田谷区岡本3丁目(-2.0%)をはじめ下落率上位10地点はすべて世田谷区内で、駅から遠い住宅地が並ぶ結果となった。
今年の国土交通省による基準地価(7月1日時点)は、全用途での全国平均の地価が前年比0.4%の下落というマイナスに転じて、2年連続の下落となった。その中で際立ったのが、2年目の新型コロナウイルス禍の下で進む地価の「地殻変動」といえるものだ。全国的に地価が下落する中で上昇した地点に目を向けると海外マネー流入や在宅勤務による住環境の再評価という牽引力が浮かび上がる。
三大都市圏では商業地で前年比0.1%上昇とプラスを維持した東京圏と、0.6%の下落と9年ぶりにマイナスに転じた大阪圏で明暗が分かれた。背景にあるのが、世界各国・地域のコロナ対応で世界中にあふれた金融緩和マネーで、海外投資家がコロナ禍で業績悪化した企業が売却する都心の優良物件に狙いを定めており、安定した利回りを見込める都心のオフィスビルに海外マネーが流れ込んでいる。
住宅地の上昇地点をみると、在宅勤務や外出自粛による住環境の再評価が地下を支えている。都内では民間の「住みたい街」ランキングで人気の吉祥寺がある武蔵野市は1.5%上昇。東京圏で上昇が目立つのが千葉県浦安市(2.4%上昇)や横浜市中心部の神奈川区(1.6%上昇)など。テレワーク拡大などはコロナ後も簡単には後戻りしないとみられ、こうした在宅時間の増加で、通勤時間にとどまらない暮らす街の魅力にこだわった住宅選びのニーズが増すとみられる。
23区内上昇率・下落率上位5地点 商業地は歌舞伎町や銀座が下落
基準地の所在 | 価格(千円/㎡) | 変動率(%) | |
---|---|---|---|
▼上昇率上位 | |||
商業地 | ➀ 大田区池上6-3-8 | 1,020 | 3.3 |
➁ 中野区中野5-64-9 | 4,880 | 2.7 | |
➂ 足立区千住旭町40-22 | 1,340 | 2.3 | |
➃ 世田谷区三軒茶屋2-17-10 | 1,930 | 2.1 | |
➄ 足立区千住3-70-2 | 1,460 | 2.1 | |
▼下落率上位 | |||
商業地 | ➀ 新宿区歌舞伎町1-18-9 | 6,970 | -10.1 |
➁ 中央区銀座7-3-14 | 6,140 | -9.0 | |
➂ 中央区銀座6-8-3 | 28,500 | -7.2 | |
➃ 新宿区新宿3-18-5 | 16,000 | -7.0 | |
➄ 新宿区西新宿2-6-1 | 12,700 | -3.8 | |
▼上昇率上位 | |||
住宅地 | ➀ 江東区有明1-3-7 | 695 | 3.4 |
➁ 港区赤坂1-14-11 | 4,870 | 3.2 | |
➂ 豊島区高田3-32-7 | 843 | 2.8 | |
➃ 台東区上野桜木1-1-5 | 853 | 2.8 | |
➄ 品川区北品川5-9-28 | 1,160 | 2.7 |
(資料参照:東京都財務局 ※変動率は対前年変動率 同じ変動率で順位が異なるのは、小数点以下第二位は四捨五入によるもの)
※参考資料:日本経済新聞(2021年9月22日)
*基準地価とは:
基準地価は、7月1日時点の基準地点ごとに調査された、1平方メートルあたりの土地の地価のこと。調査主体は各都道府県で国土交通省がまとめて発表する。
国土交通省が調査主体となり、毎年1月1日時点の地価を発表する公示地価と並んで、地価の動きを示す代表的なデータとされている。
公示地価が都市計画区域内を主な対象とするのに対して、基準地価は都市計画区域外の住宅地、商業地、工業地、宅地ではない林地なども含んでいます。

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