2025年東京都内基準地価 - 商業地で11%上昇, 住宅地も5.6%上昇
9月16日、国土交通省は全国基準地価を発表、同日に東京都は都内の基準地価を発表した。 *基準地価(後に詳細説明)とは、7月1日時点の基準地点ごとに調査された、1平方メートルあたりの土地の価格のこと。 全用途平均では前年比7.7%(2024年6.0%)上昇し13年連続の上昇を維持した。 商業地は11.2% (2024年8.4%)上昇し、地点別でインバウンド(訪日外国人)でにぎわう浅草が上昇率トップとなった。 マンション需要などが追い風となり、住宅地も5.6%(2024年4.6%)上昇した。
商業地
商業地は都内全体で前年の8.4%から11.2%と上昇幅が拡大した。東京23区でも前年比13.2%となり、全ての区で上昇率が拡大。上昇率が10%を超えた区は18区で、前年より7区増えた。 「都心5区」が軒並み上がり平均で14.8%上昇。 区別の上昇率は台東区が18.2%(前年12.5%)で最大となり、中央区(16.7%上昇)や文京区(16.4%上昇)が続いた。 地価の高い伸びが都心区から周辺区に広がり、中野区や杉並区も15%を超える上昇となった。
23区内で上昇率が最も高かったのは台東区浅草1丁目(27.4%上昇)で、2位は同区西浅草2丁目(25.2%上昇)。 浅草周辺はインバウンド(訪日外国人)の回復を背景にホテルの建設が相次ぐ。 上位10地点に中央区が5地点を占めたが、銀座や築地、新富町などの周辺でホテルやマンションの建設が進んでいる。
全国地価の最高値を付けたのは20年連続で中央区銀座2丁目の明治屋銀座ビルだが、 1平方メートル当たり4,690万円で11.4%の上昇となった。
住宅地
住宅地の上昇率は前年比5.6%と、前年の4.6%から上昇幅が拡大した。区部全体でみると、23区で平均変動率は8.3%と、前年の6.7%から上昇幅が拡大した。このうち最も高い上昇率が、港区(前年9.2%)と目黒区(前年9.6%)の13.7%で、台東区の13.4%がこれに続いている。 区別の平均変動率は、都心5区が12.9%、その他の区が7.7%で、ともに前年比で上昇幅が拡大した。
区部で最も上昇した地点は飯田橋駅や市ヶ谷駅に近い新宿区の市谷船河原町の15.9%で、渋谷区神宮前3丁目(15.7%)や港区赤坂1丁目(15.6%)が続いた。臨海部の江東区有明1丁目(14.9%)や中央区月島3丁目(14.9%)もトップ10入りした。
全国地価の最高価格は港区赤坂1丁目で一平方メートル当たり6430万円となり、前年比15.6%(前年6.1%)上昇し、上昇率でも都内で3位となった。
全国的な地価のトレンドとしては、今年の国土交通省による基準地価(7月1日時点)が、全用途での全国平均の地価が前年比1.5%(前年1.4%)上昇し、4年連続の上昇となった。 住宅地の全国平均は前年比で1.0%(前年0.9%)伸び、商業地は2.8%(前年2.4%)といずれも伸び幅が拡大した。 国内景気がインフレを伴って穏やかに回復する中、海外マネーが流入する東京圏がけん引役となり、地価も上がるサイクルが続いている。
2025年の基準地価は東京や大阪など大都市が全体をけん引した。 押上げ要因の一つが国外から流入した投資マネーだ。 25年上半期の海外からの不動産投資額は歴史的な高水準だった。オフィス賃料は世界的にみて日本はなおも割安な水準にある。 円安や低金利も追い風となった。
日本の名目国内総生産(GDP)は24年度が3.7%と4年連続でプラスだった。 直近の25年4-6月期も年率換算で6.6%増と一定水準の伸びを記録した。 経済や物価の動きに対応する形で、地価も上昇するサイクルが実現しつつある。
今後の動向について専門家は「都心を中心に地価上昇は続く」とみている。 但し、土地を持つ企業や個人には恩恵があるが、住宅の分譲価格や賃料の上昇につながり、新たに都心に住むのが難しくなる可能性がある。 一方で、物価の伸びを上回る賃金上昇は定着しておらず、同専門家は「エッセンシャルワーカーが都市部に住めなければ、インフラが維持できなくなる恐れがある」としており、行政による対策が必要になると指摘する。
23区内上昇率上位5地点
商業地は軒並み上昇
基準地の所在 | 価格(千円/㎡) | 変動率(%) | |
---|---|---|---|
▼上昇率上位 | |||
商業地 | ➀ 台東区浅草1-29-6 | 3,860 | 27.4 |
➁ 台東区西浅草2-13-10 | 2,880 | 25.2 | |
➂ 中央区湊1-2-7 | 1,850 | 25.0 | |
➃ 渋谷区円山町22-16 | 2,250 | 25.0 | |
➄ 中央区銀座7-16-7 | 4,560 | 24.9 | |
▼上昇率上位 | |||
住宅地 | ➀ 新宿区市谷船河原町19-8 | 1,750 | 15.9 |
渋谷区神宮前3-13-13 | 2,360 | 15.7 | |
港区赤坂1-14-11 | 6,430 | 15.6 | |
➃ 渋谷区猿楽町15-3 | 2,000 | 15.6 | |
品川区北品川5-9-28 | 1,650 | 15.4 |
資料参照:東京都財務局、日本経済新聞
*変動率は対前年変動率 同じ変動率で順位が異なるのは、小数点以下第二位は四捨五入によるもの
基準地価とは
基準地価は、7月1日時点の基準地点ごとに調査された、1平方メートルあたりの土地の地価のこと。調査主体は各都道府県で国土交通省がまとめて発表する。国土交通省が調査主体となり、毎年1月1日時点の地価を発表する公示地価と並んで、地価の動きを示す代表的なデータとされている。公示地価が都市計画区域内を主な対象とするのに対して、基準地価は都市計画区域外の住宅地、商業地、工業地、宅地ではない林地なども含む。
*参考資料:日本経済新聞、東京新聞(2025年9月17日)

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