中古住宅売買時のインスペクションの活用
政府は中古住宅流通を促す施策として、2018年4月に宅建業法を改正し、中古住宅の売買時点の建物の状態を客観的に把握できる「インスペクション(建物検査)」の活用を新たに規定しました。ここでは、日本のインスペクション活用状況、インスペクション普及に向けた宅建業法の改正のポイントについてご説明します。
日本のインスペクション活用状況
現状、日本ではあまり普及していないインスペクションですが、中古住宅の売買が主流となっている欧米諸国ではインスペクションの利用が進んでいます。住宅市場の約9割を中古住宅が占めるアメリカでは、不動産取引全体の7~8割ほどでホームインスペクション(住宅診断)が利用されています。住宅購入の際に、買主が建物の状態について第三者の専門家に調査を依頼し、コンディションを十分に理解した上で購入することが慣習化しているようです。その他、イギリス、オーストラリアでも住宅購入のためのインスペクションが普及しています。
一方日本では、「インスペクション」と言われるサービスは新築時の検査、中古売買時、リフォーム実施時に行うものなど様々あり、また、中古住宅の現況を把握する検査は、現場検査員の技術力や検査基準等が事業者ごとに異なるような状況でした。
そこで、政府はインスペクションの普及を目的として、2013年に「既存住宅インスペクション・ガイドライン」を策定し、中古住宅売買時の利用を前提とした目視等を中心とする既存住宅の現況調査について、検査項目や検査方法その他サービス提供に際しての留意事項についての指針を示し、インスペクション業者が適正に業務を実施できるよう促しました。
インスペクション普及に向けた宅建業法改正ポイント
2018年4月に宅建業法を改正し、中古住宅売買時のインスペクションの活用について規定しました。
具体的には下記の内容が不動産売買取引に義務付けられることになりました。
- 中古住宅の売買を依頼する売主、買主に対し、媒介契約を交わす際に、インスペクション業者をあっせんできるか否かを、媒介契約書に記載し説明する。
- 売買契約締結前に行う重要事項説明の際に、インスペクションを実施しているかどうか、実施している場合はその結果について説明する。
- 売買契約締結時に、建物の構造耐力上主要な部分等の状況について、売主、買主の双方が確認した事項を書面にて交付する。
さらに、インスペクション結果を活用し、既存住宅に瑕疵があった場合に補修費用等を補償する保険(既存住宅売買瑕疵保険)の加入を促進することで、消費者が安心して既存住宅の取引を行える環境の整備を図っています。

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