都市計画法に基づく用途地域

Poste date: 2022年7月1日

用途地域とは都市計画法によって定められた地域ごとの立地規制、用途規制を定めたものです。

これにより、工場や、商業施設、住宅等、様々な用途の建築物が無秩序に混在することを防ぎ、それぞれの環境にあった効率的な配置が実現されています。
用途地域によって、その土地の環境や建てられるものが違ってきますので、これから不動産を購入、または建物を新築しようとする人は用途地域の種類を理解しておくことをお薦めします。

用途地域は大きく住居系、商業系、工業系に分かれており、全部で13種類あります。

各用途地域の英語の名称は下記の通り、国土交通省の英訳に準じております。
それぞれの用途地域の英語の説明は、弊社英語サイト Land Use Zones in Japan で公開しております。

2018年に新しく、「田園住居地域」が追加されました。これは都市部にある農地を守る為に、1992年に制定された「生産緑地法」に基づき、税制の優遇等を受けられる地域として指定された生産緑地が、2022年の指定の解除に伴い一斉に売りに出される事を懸念して創設された用途地域です。税制の優遇がなくなると、多くの土地が売りに出される可能性があります。その売りに出された土地が、宅地としてあまり有効活用されずに放置される事を防ぐ為に、「農業の利便の増進を図りつつ、これと調和した低層住宅に係る良好な住宅環境を保護する用途市域」として創設されました。
「田園住居地域」では、低層住居専用地域に建築可能なものに加えて、農業の利便促進に必要な店舗や飲食店、農産物の集荷・貯蔵等に使うもの、農機具収納施設等が建築可能です。

用途地域

住居系

用途地域 説明 イメージ

第一種低層住居専用地域

Category Ⅰ exclusively low-rise residential zone
低層住宅のための地域です。
小規模なお店や事務所をかねた住宅や、小中学校などが建てられます。
第一種低層住居専用地域

第二種低層住居専用地域

Category Ⅱ Exclusively low-rise residential zone
主に低層住宅のための地域です。
小中学校などのほか、150平米までの一定のお店などが建てられます。
第二種低層住居専用地域

第一種中高層住居専用地域

Category Ⅰ mid/high-rise oriented residential zone
中高層住宅のための地域です。
病院、大学、500平米までの一定のお店などが建てられます。
イラスト

第二種中高層住居専用地域

Category Ⅱ mid/high-rise oriented residential zone
主に中高層住宅のための地域です。
病院、大学などのほか、1,500平米までの一定のお店や事務所など必要な利便施設が建てられます。
イラスト

第一種住居地域

Category Ⅰ residential zone
住居の環境を守るための地域です。
3,000平米までの店舗、事務所、ホテルなどは建てられます。
イラスト

第二種住居地域

Category Ⅱ residential zone
主に住居の環境を守るための地域です。
店舗、事務所、ホテル、カラオケボックスなどは建てられます。
イラスト

準住居地域

Quasi-residential zone
道路の沿道において、自動車関連施設などの立地と、これと調和した住居の環境を保護するための地域です。 イラスト

田園住居地域

Countryside Residential Zone
農業の利用の増進を図りつつ、これと調和した低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するために定める地域です。

 

商業系

用途地域 説明 イメージ

近隣商業地域

Neighborhood commercial zone
まわりの住民が日用品の買物などをするための地域です。
住宅や店舗のほかに小規模の工場も建てられます。
イラスト

商業地域

Commercial zone
銀行、映画館、飲食店、百貨店などが集まる地域です。
住宅や小規模の工場も建てられます。
イラスト

 

工業系

用途地域 説明 イメージ

準工業地域

Quasi-industrial zone
主に軽工業の工場やサービス施設等が立地する地域です。
危険性、環境悪化が大きい工場のほかは、ほとんど建てられます。
イラスト

工業地域

Industrial zone
どんな工場でも建てられる地域です。
住宅やお店は建てられますが、学校、病院、ホテルなどは建てられません。
イラスト

工業専用地域

Exclusively industrial zone
工場のための地域です。
どんな工場でも建てられますが、住宅、お店、学校、病院、ホテルなどは建てられません。
イラスト



上記のそれぞれの用途地域には、建築基準法により、建築制限・用途制限が定められています。
建築(新築、増築、改築)をするときには、用途地域内の制限内容に沿った用途、建物規模にしなければなりません。


また、既存の建物の用途変更時にもこの制限が適用されます。
こうした制限によって、土地利用に応じた環境が確保されています。

例)第一種低層住居専用地域
一般住宅、小規模の住居兼事務所・住居兼店舗、小学校・中学校・高校、老人ホーム、図書館、診療所、保育所等を建てることができます。
容積率や建物の高さ制限が厳しいため高い建築物が建てられず、一般の戸建住宅と低層マンションが広がる低層エリアとなります。 また、人が多く集まる大規模な店舗や娯楽施設等も建てられないため、静かで良好な住環境が確保されています。


用途地域による建築物の用途制限

各用途地域ごとにどのような施設や建物が建築可能か、こちらで確認できます。

用途地域は、区役所等の自治体がホームページ上に公開しているところについては、インターネット上で確認することができます。

例1)渋谷区 都市計画図

例2)東京都内都市計画情報

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