2022年公示地価 ― 東京は住宅地・商業地とも2年ぶり上昇
国土交通省が3月22日に発表した2022年1月1日時点の公示地価は、全国平均(全用途)が前年比0.6%上がり2年ぶりに上昇した。新型コロナウイルス禍から経済が徐々に回復していることを反映する結果となった。コロナ禍の影響が残る商業地が0.4%の上昇に転じ、住宅地も、テレワークの広がりで、都心だけでなく郊外の住宅需要が伸びて0.5%の上昇となった。
東京都も全域でみた場合、各用途とも2年ぶりに上昇に転じた。対前年比の変動率は商業地で0.6%、住宅地で1.0%、全用途平均では0.9%のそれぞれ上昇となった。
商業地の東京都全域の前年比変動率は0.6%の上昇。23区全域の平均では0.7%の上昇し、中野区(2.3%)、杉並区(2.1%)、荒川区(2.0%)の順で上昇率が高かった。一方、都心3区は下落し、中央区(-1.3%)、千代田区(-1.2%)、港区(-0.3%)の順で都心三区は下落率上位となった。
商業地で上昇率が最も高かった上位5地点を見ると、中野3丁目の2地点でそれぞれ4.5%、4.3%の上昇、中野5丁目(4.2%)、千住2丁目(4.0%)、千住旭町(3.7%)がこれらに続いた。いずれも山手線の外側で、近くの住宅地から日常的な買い物で訪れる商業地。特に再開発が進む中野駅周辺は利便性の向上が見込まれ、上昇に拍車がかかった様子。都の担当者は「都心の商業集積地よりも、居住地域周辺の店舗で消費する傾向が強まっている」と指摘。
一方、都心3区の下落率は縮小したものの下がり続け、変動率が最も低かった地点は、トップの銀座8丁目(-5.6%)から、有楽町1丁目(-4.8%)、銀座6丁目(-3.8%)と続き、銀座や有楽町が目立った。都の担当者は「コロナ禍が長期化して訪日外国人が来ない状態が続き、買い物や観光の客足が遠のいている状態が続いおり、オフィス市場が先行き不透明で空室率も拡大傾向にあることが要因」と説明。
一方、全国の地価の高額地点は下図のとおり上位10位はすべて東京都内となっており、なかでも中央区は、銀座の「山野楽器銀座本店」を筆頭に全国の商業地の地価高額地点トップ4を独占し、計6地点がランク入りした。しかし変動率に関しては、その中央区銀座で下落率の高さが目立つ結果となった。
都内住宅地は商業地と比べて上昇率が高く、東京都全域の前年比変動率では1.0%と上昇した。 東京23区平均すべてで上昇し、変動率が最も高かった中央区(2.9%)から、豊島区(2.6%)、文京区(2.5%)の順で続いた。また都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)が2.2%、その他の区が1.4%の上昇。都によると、「テレワークの浸透などに伴う住環境の見直しや、富裕層を中心とした都心や隣接区の高いマンション需要が地価を押し上げた」とのこと。
上昇率が最も高かった地点は、代官山駅に近い、恵比寿西2丁目(5.9%)、豊洲4丁目(5.5%)、新宿区南元的(5.3%)などがこれに続き、都心に近い駅周辺や、買い物などの利便性の高い地点の上昇が目立った。
全国の住宅地の地価高額地点も下図のとおり上位5位はすべて東京都内となっている。 最も高かったのは東京都港区の高級住宅地「赤坂1-14-11」で、5年連続の首位、1平方メートル当たり500万円となり、上昇率も拡大し3.3%となった。コロナ禍の影響が小さいとされる高所得者層の需要が下支えとなっている様子。
(参考資料:2022年3月22日日本経済新聞、東京新聞)
全国の地価の高額地点
(価格は1平方メートルあたり 円、変動率%)
順位 | 地点(商業地、すべて東京都) | 価格 | 前年度比 変動率 |
---|---|---|---|
1 | 中央区銀座4-5-6 (山野楽器銀座本店) |
53,000,000 | - 1.1 |
2 | 中央区銀座5-4-3 (対鶴館ビル) |
45,500,000 | - 1.3 |
3 | 中央区銀座2-6-7 (明治屋銀座ビル) |
39,100,000 | - 2.0 |
4 | 中央区銀座7-9-19 (ZARA) |
38,200,000 | - 2.8 |
5 | 千代田区丸の内2-4-1 (丸の内ビルディイング) |
36,700,000 | - 1.3 |
6 | 新宿区新宿3-24-1 (新宿M-SQUARE) |
36,300,000 | - 0.5 |
7 | 新宿区新宿3-30-11 (新宿高野第二ビル) |
34,500,000 | - 0.3 |
8 | 千代田区大手町2-2-1 (新大手町ビルヂング) |
28,800,000 | - 0.7 |
9 | 中央区銀座6-8-3 (銀座尾張町TOWER) |
28,200,000 | - 3.8 |
9 | 中央区銀座4-2-15 (塚本素山ビルディング) |
28,200,000 | - 1.7 |
住宅地の地価の高額地点
(価格は1平方メートルあたり 円、変動率%)
順位 | 地点 (全て東京都) | 価格 | 前年比 変動率 |
---|---|---|---|
1 | 港区赤坂1-14-11 | 5,000,000 | 3.3 |
2 | 千代田区六番町6-1 | 4,150,000 | 2.5 |
3 | 港区白金台3-16-10 | 3,880,000 | 1.8 |
4 | 港区南麻布4-9-34 | 3,650,000 | 2.2 |
5 | 港区南麻布1-5-11 | 3,250,000 | 2.5 |
(2022年3月22日日本経済新聞より)
公示地価とは?
地価公示法に基づき、国土交通省の土地鑑定委員会が標準値を選定し、毎年1月1日時点の調査を行い、価格を判定して、一般の土地の取引価格の指標等として公表するもの。2021年現在の東京都分の地点数は2,602地点であり、用途区分ごとの地点数は、住宅地1,705地点、商業地850地点、工業地39地点、林地8地点となっている。
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