日本の宅地建物取引士について

Poste date: 2023年10月30日

日本の不動産会社には、宅地建物取引士という国家資格を持った専門家が5人に1人以上の割合で在籍しています。宅地建物取引士は幅広い知識を持ち、安全に取引を行うために契約時に必ず立ち会うことになっています。ここでは、宅地建物取引士の業務、試験、外国人の受験、日本と諸外国との不動産取引に関する資格の違いなどをご案内します。

宅地建物取引業法

日本では、不動産の売買・仲介等の取引業務については、不動産の取引が公正かつ誠実に行われること、不動産が円滑に流通すること、購入者等の利益の保護を図ることを目的とする宅地建物取引業法という法律があります。この法律のもと、宅地建物取引業を営む者は、個人・法人を問わず免許を取得しなければなりません。

不動産の専門家 宅地建物取引士

不動産取引に関わる広範な知識を有する専門家として、宅地建物取引業法に基づき定められている国家資格者を宅地建物取引士といいます。

不動産の取引のなかでも特に重要な業務である、不動産や契約内容等の説明(重要事項説明)と契約内容を記載した書面への記名押印については、宅地建物取引士しか取り扱えないと定められています。

さらに、不動産会社が宅建業の免許を受けるためには、この宅地建物取引士を事務所ごとに従事者5名に対して1名以上の割合で確保しなければいけないことになっています。

宅地建物取引士の試験

宅建取引士の試験は国家試験で、例年約21万人が受験し、合格率は15~16%です。不動産に関する法律や税制など、4つの分野について幅広く問われます。

・ 権利関係(民法、借地借家法、不動産登記法、建物区分所有法)

・ 法令上の制限(都市計画法、建築基準法、その他法令上の制限

・ 宅地建物取引業法

・ 税・価格(所得税、印紙法、不動産取得税、固定資産税、鑑定評価他)

上記の分野から50問出題され、すべて四肢択一の形式です。取引士の試験は年に1度、毎年7月頃に申し込みを受付、10月の第3日曜日に試験が行われます。受験者は一般的に、宅建の専門学校に通ったり、通信講座を利用したり、数ヶ月~数年の勉強期間を経て、試験に臨みます。

受験資格・外国人の受験

宅建試験は年齢、学歴、国籍に関係なく誰でも受験することができます。外国人でも受験が可能ですが、申し込み時に国内の受験地において住民登録がされている事が要件となります。試験には民法などの法律の条文の読解力も求められますので、相当な日本語力が必要になります。また、受験資格はありませんが、資格登録には欠格事由(未成年・犯罪歴・成年被後見人等)に該当しないことが求められます。

試験に合格後、都道府県知事に登録の申請をします。この時、宅地建物取引に関して2年以上の実務経験を有しない場合は、「登録実務講習」を受講し修了する必要があります。欠格事由に該当しなければ、宅地建物取引士証の交付が受けられます。宅建士証には5年間の有効期限があり、更新する際には法令・税制改正等の知識の習得を目的とした法定講習を受講する必要があります。

諸外国における宅建取引の法規制

アメリカ

州によって免許制度を採用していますが「ブローカー免許」「セールスパーソン免許」が一般的です。ブローカー免許は、試験合格の他、2年以上の実務経験、専門学校での履修等が求められます。セールスパーソン免許は、ブローカーを補佐する不動産事業者に求められる免許で、ブローカー免許より資格要件が緩く、実務経験は不要です。

イギリス

不動産の売買・賃貸、媒介を行うのに許可や免許等は必要ありません。不動産業者は、不動産取引に必要な物件の詳細や取引条件等を説明しなかった場合、刑事罰の対象となることが法律で定められています。

フランス

不動産を売買、賃貸仲介することで報酬を得るには、知事の営業許可が必要です。また、不動産業者に対しては、媒介契約に関する規定や、報酬請求権に関する規定などが設けられています。

韓 国

日本の宅地建物取引士に似た「公認仲介士」という資格制度があり、不動産取引に関して幅広く出題される国家資格に合格する必要があります。不動産仲介業は登録制になっており、代表者は公認仲介士でなければならず、社員の過半数が公認仲介士であることも事務所の開設要件です。

中 国

全ての土地が国家による所有または農民の集団所有に属するとされており、土地の権利としては、土地使用権が認められ使用年数制限があります。不動産の取引を行う宅地建物取引主任士に相当する国家資格として、「房地産経紀人資格」という資格があり、不動産仲介業を営むには房地産経紀人の確保が義務づけられましたが、この規則は2014年に取り消しになったようです。

 

日本の宅地建物取引において、宅建取引士は、幅広い専門的な知識をもち、常に公正誠実に業務に従事することで、紛争等を防止し消費者の安全な取引の遂行を図る社会的責務を担っていると言えます。

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