日本の建物の地震対策状況

Post date: 2022年7月29日

地震の多い日本では、長年にわたり過去の地震の経験から建物の地震対策に取り組んできました。現在、日本全国で首都直下地震や南海トラフ巨大地震をはじめとした大地震発生が予測されています。国は、その被害を最小限に食い止めるための方法の一つとして、住宅や建築物の耐震化を促進しています。ここでは、日本の建物の耐震化がどれほど進んでいるか、過去の大震災において、耐震化された建物は被害を抑えるのに有効であったか見ていきます。

 

日本の建物の耐震化率

日本の住宅・建築物の耐震化率について、2018年時点の国土交通省のデータを見てみると、総戸数約5,360万戸のうち、耐震性がある住宅が約4,660万戸、耐震性が不十分な住宅が約700万戸で、耐震化率は約87%となっています。

建築基準法の 耐震基準 に基づき、1982年以降に建築された「新耐震基準」の建物を耐震性ありとしています。一方、1981年以前に建築された建物は、耐震基準が強化される前の「旧耐震基準」によって建築されているため、耐震性が不十分としていますが、全てが危険というわけではなく、旧耐震基準の建物1310万戸のうち、耐震診断の結果、耐震性が確認できた建物や、耐震診断を受けて耐震改修工事を実施した建物約610万戸については、耐震性ありとなっています。

国土交通省 資料より

戸建住宅と共同住宅についてそれぞれ見てみると、戸建住宅の総戸数約2,880万戸のうち、耐震性がある住宅が約2,320万戸、耐震性が不十分な住宅が約560万戸で、耐震化率は約81%となっています。 共同住宅は、総戸数約2,490万戸のうち、耐震性がある住宅が約2,350万戸で、耐震性が不十分な住宅は約140万戸、耐震化率は約94%となっています。
国は、2025年までに耐震化率95%、2030年までに耐震性が不十分な住宅ストックをおおむね解消することを目標として、「旧耐震基準」によって建築された建物の耐震診断や耐震改修の支援を行っています。

 

日本の建物の耐震等級取得状況

耐震性能を表す指標として、耐震基準 耐震等級 がありますが、次に日本の建物の耐震等級の取得状況を見ていきます。耐震等級は、2000年に施行された「品確法」に基づく「住宅性能表示制度」に含まれる指標の一つです。耐震等級が高くなるほど、耐震性能が高いことを表しています。

国土交通省による2013年度の住宅性能表示制度の利用状況を見ると、新設着工住宅戸数(約99万戸)の約2割(戸建約10万戸 共同約13.1万戸)が住宅性能表示制度を利用しています。

新築住宅の住宅性能表示制度の利用状況(平成25年度) 

国土交通省 資料より

このうち、一戸建て住宅については、耐震等級1の割合は約10%、耐震等級2は約6.6%、耐震等級3は約83%となっています。住宅性能表示を利用している新築戸建については、80%を超える住宅で最高等級である3を取得しています。

共同住宅(マンション)については、鉄骨造、鉄筋コンクリート造のマンションの42.7%で住宅性能表示制度を利用しています。耐震等級を見てみると、耐震等級1が約87%、耐震等級2が8.5%、耐震等級3が1.2%という状況です。マンションの約90%は耐震等級1ということになります。一戸建て住宅に比べマンションで耐震等級2以上の取得数が低い理由としては、マンションのような大規模な建築物の耐震性能を上げるには、壁厚を増したり、開口部を少なくする必要があるため、間取の自由度が制限され、快適な居住空間を確保するのが難しくなります。また、そのために建築コストがかかることも要因となっています。

マンションの地震対策

マンションの地震対策としては、一般的な耐震構造以外に、免震構造、制震構造 を採用して、耐震力を確保しているマンションがあります。免震構造のマンションや制震構造のマンションは1990年代半ばから供給が進んでおり、特に30階を超える高層マンションで広く導入されています。

 

 

これまで日本の建物の耐震性や耐震化の状況について見てきました。日本は、度重なる地震に見舞われ、耐震基準を見直ししてきましたが、実際に過去の大地震の際には、建物の被害はどれほどであったか、被害状況のデータを見てみましょう。

1995年阪神・淡路大震災(最大震度7)の被害

阪神・淡路大震災では、旧耐震基準の建物と新耐震基準の建物で、被害状況に差が出る結果となりました。旧耐震基準では、約30%が大破以上(大破、倒壊、崩壊)の被害となったのに対し、新耐震基準では、約10%弱の被害にとどまりました。新耐震基準については、約75%の建物が軽微な被害、もしくは無被害に抑えることができました。この被害状況から、新耐震基準の建物であれば震度6強〜7の地震に対して耐えうることが分かりました。

国土交通省 資料より

2016年熊本地震(最大震度7)の被害

熊本地震では、特に木造建築物が建築年によってその被害に大きく差が出ました。旧耐震基準の建物(1981年(昭和56年)5月以前)の倒壊率は28.2%に上っており、新耐震基準の建物(1981年(昭和56年)6月以降)の倒壊率8.7%と比較して顕著に高いものでした。さらに、2000年(平成12年)の建築基準法改正以降 建物の倒壊率は、わずか2.2%にとどまりました。

国土交通省 資料より

また、住宅性能表示制度による耐震等級3の住宅は、大きな損傷が見られず、その87.5%で被害がありませんでした。

 

国土交通省 資料より

鉄骨造や鉄筋コンクリート造で新耐震基準を満たしている建物で倒壊が確認されたものはありませんでした。ここでも、新耐震基準が地震に対する倒壊防止に有効であると示されました。

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Exterior of 三田ガーデンヒルズ イーストヒル
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三田ガーデンヒルズは、三井不動産グループおよび三菱地所グループにより共同開発される全1,002 戸、港区大規模マンションです。都営大江戸線・東京メトロ南北線「麻布十番」駅徒歩5分の立地、広尾ガーデンヒルズ以来38年振りに三井・三菱両グループが都心にて開発する「ガーデンヒルズ」です。分譲主である三井不動産レジデンシャル及び三菱地所レジデンスが掲げるそれぞれのブランドコンセプト「経年優化」、「一生ものに、住む。」を象徴的に体現、環境にも配慮されたZEH-Oriented(取得予定)プロジェクトです。約7,000m2のランドスケープが計画される広大な敷地は緑豊かな旧逓信省跡地に位置し、パークマンション・ウエストヒル・イーストヒル・ノースヒル・センターヒル・サウスヒル・ヴィラの全7棟で構成されております。会員制レストラン、カフェラウンジなど共⽤部が充実。帝国ホテルとの提携による多彩なサービスも享受でき、上質な空間が広がります。建物の完成は2025年3月(予定)です。建築確認番号:BCJ21本建確079(2021年8月19日付)。

62,800万円

Exterior of パークハウス麻布霞町
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西麻布交差点近く、通りから一歩入った閑静な住宅街に立地する6階建て高級低層マンション。近隣は緑に囲まれ、各国の大使館が点在する由緒ある土地柄です。最寄り駅の広尾のほか、六本木、表参道、麻布十番へも徒歩圏内。 六本木ヒルズ、東京ミッドタウンなどの商業エリアが生活圏です。 広く取った敷地とエントランスへのアプローチには手入れの行き届いた植栽が取り囲み、ガラス張りのエントランスホールとその脇の大きな菩提樹が印象的です。さらに重厚感のある外観、そして大理石張りのエントランスホールなど、それぞれが邸宅というべき風格とハイグレード感を後押しします。 居室の間取りは3LDK中心の1-3LDK。2邸に1基のエレベーター設置やハイスペックな居室の仕様はプライバシーと使い勝手に配慮。都心の喧騒に近接しながらも、落ち着きに満ちた異空間の生活が味わえます。

75,000万円

Exterior of プラウドタワー芝浦
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田町駅より徒歩11分の他、複数路線利用可。開放的なベイエリアに立地の33階建てタワーマンション。敷地内に1900㎡超の公開空地があり豊かな緑が広がる。1LDK~4LDKタイプの居室はハイグレードな設備が揃う。多彩な共用施設,サービスのほかセキュリティ面も充実。

21,990 ~ 25,800万円

Exterior of SHIROKANE The SKY 白金ザ・スカイ
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東京メトロ南北線・都営三田線「白金高輪」駅徒歩3分の地に、地上45階建1247戸という大規模複合再開発白金ザ・スカイが始動します。複数の再開発計画によって進化を続ける白金高輪エリア。「白金高輪」駅に直結した「白金アエルシティ」をはじめ、「白金高輪」駅の周辺は、多彩なショップが華やぐ街。街路樹が並ぶ広い通りに面して、おしゃれな店構えのフラワーショップやカフェ、レストランが軒を連ねています。また輸入食材なども豊富にそろえたスーパーもあり、洗練されたモダンな街が、毎日の暮らしに多彩な楽しみをもたらしてくれます。

21,900 ~ 53,000万円