普通借家契約 VS 定期借家契約 

Poste date: 2018年11月21日

物件を貸す・借りるときの建物賃貸借契約を締結するには「普通借家契約」と「定期借家契約」の2種類から選択できます。
借地借家法では、中途解約や契約更新についてそれぞれ以下のように定められております。

この記事ではそれぞれの契約の相違点とメリット・デメリットについて説明します。

 

 

普通借家契約


従来からある更新可能な賃貸借契約です。

契約方法 口頭でも書面でも可。不動産会社が仲介す賃貸物件では書面を作成。
契約期間 一般的には2年間で行われることが多い。期間を1年未満とする契約はできず、期間が1年未満の契約は、期間の定めがないとされます。
契約更新 正当事由がない限り、貸主は契約更新を拒絶できません。
中途解約 貸主からは6ヶ月前、借主からは1ヶ月前~2ヶ月前の予告で解約とするのが一般的。
ただし、貸主からの解約申し入れには正当事由が必要。
賃料改定 特約にかかわらず、当事者は、賃料の増減を請求できる。

 

普通借家契約のメリット

・入居者を集めやすい。
・定期借家より賃料を高めに設定できる。

普通借家契約のデメリット

・一時的に貸したい貸主にとっては、いつまでも明け渡してもらえないリスクがある。
・問題の多い入居者であっても、貸主側から解約できない場合が多い。


普通借家契約は借主保護の側面が強いので借主にデメリットはなく、貸主のデメリットは、契約更新の拒絶、中途解約の申し入れに正当事由を必要とするので、貸主の都合で退去してもらうのは難しいということです。貸主が建物をどうしても使いたい事情や老朽化に伴い立て直しが必要などの正当事由がなければ、貸主から契約終了はできないに等しいです。どうしても出ていかない借主には、立ち退き料を支払うしかありません。



定期借家契約


【良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法】によって借地借家法が改正され平成12月3月1日に施行されました。

契約方法 書面契約が必須で、口頭契約は普通借家契約と扱われます。また、期間を定めた契約で更新がなく、期間満了で契約が終了する旨を借主に書面で交付する義務もあります。
契約期間 期間に制限はなく、普通借家契約で認められない1年未満の契約が可能です。期間が長いほうも無制限です。
契約更新 定期借家契約には、そもそも更新という考え方がありません。契約期間が満了になれば契約終了です。ただし、延長・再契約は可能ですから、双方が合意すれば延長・再契約をすることが可能です。
契約終了の通知 契約期間が1年以上のときは、契約期間満了の1年前から6ヶ月前までの間に、貸主から契約が終了することを通知しなくてはなりません。通知を怠った場合は、通知から6ヶ月を経過すれば契約は終了します。
中途解約 200㎡未満および居住用の建物では、借主のやむを得ない事情(転勤、療養、親族の介護等)があれば、1ヶ月前の解約申し入れによって中途解約が認められます(借地借家法第38条第5項)。このケースの中途解約は、法律上の規定があるので特約がなくても可能です。その他の中途解約は特約に従います。
貸主からは原則不可。
賃料改定 賃料増減額請求権が認められるが、賃料の改定に係る特約を賃貸借契約に設けることができる。賃料を増減額しない旨の合意を含め、当事者の合意に基づく賃貸借契約上の特約が優先され、原則として、文言どおりの効力を有する。

 

定期借家契約のメリット

・契約期間を自由に設定できる。
・契約期間を短くすることで、経年劣化を早めに補修できる。
・法人と契約すれば、転勤などの定期的な入居者の回転が望める。

もし双方が望めば再契約ができます。
「一定期間貸した後に自ら使用したい」「取り壊して更地として土地を売却したい」といったケースなど、一定期間だけを貸したい場合でも問題なく貸すことができます。
老朽化に伴う建て替えが必要になっても、入居者の契約期間を建て替えのタイミングに合わせることで計画どおりに建て替えができます。
在学・転勤などで、一定期間しか住むつもりがない人にとっては、契約期間の満了で退去することが決まっているので、再契約ができないリスクは影響しません。

 

定期借家契約のデメリット

貸主にとってのデメリットは、賃料を下げないと入居者が集まりにくいことでしょう。
借主にとっては、住み続けたい場合でも再契約できない可能性があり不安感が大きいため、「双方の合意があれば再契約をする」特約を付けることで借主の不安をやわらげることができると思います。この場合だと、借主の契約違反や賃料の滞納等が無くルールを守っていれば再契約をすることができ、貸主からすれば、契約違反や、賃料を滞納したりする入居者とは再契約をしないことができます。

 

まとめ


以上のように、普通借家契約と定期借家契約は、種々の異なる点があります。
双方のメリット・デメリットを考え、状況に応じて使い分けることが大切ですが、契約の終了に際し借主の意向に左右されてしまう「普通借家契約」に対し、「定期借家契約」では貸主のコントロールを可能にする制度といえるでしょう。