退去時の原状回復と費用負担について

Poste date: 2018年12月14日

家を借りる時の賃貸借契約では、退去時の原状回復について定められており、殆どの契約で『借主は物件を原状に復して明け渡すものとする。』と記載されております。 この原状回復の費用における貸主と借主の負担額について、トラブルが発生することがあります。国土交通省は、こうしたトラブルの未然防止のため、原状回復の費用負担のあり方についてガイドラインを出しており、一般的にはこのガイドラインを基準に原状回復費用の精算が行われています。

賃貸借期間中に、入居者が物件に傷や汚れを付けたり、故意・過失で壊してしまったりすることはよくあることです。但し、日本の法律では、借主には善良なる管理者の注意義務があるとされており、借りている物件は常識をもって注意しながら使うと定められております。

ここでは、どのようなケースがどちらの負担になるのか、例を挙げて説明致します。

 



原状回復とは

ガイドラインでは、「賃借人の居住、使用により生じた建物の劣化又は損耗等のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」とし、その費用は借主の負担と定義しています。
たとえば、

・ タバコによる壁や天井のヤニ汚れ
・ 飲みこぼしなどによるカーペットや床の染み
・ 引っ越し作業中などで生じた引っかき傷
・ 掃除を怠ったことによるカビや台所の油汚れなど
・ 下地ボードの張り替えが必要な程度のくぎやネジ穴
・ 結露を放置したことによるカビやシミ
・ ペットにより柱等にキズが生じ、または臭いが付着している場合
  (ペット可の賃貸物件の多くは、入居時の条件として敷金1か月積み増し、かつ、積み増した1か月分は退去時に償却されるとした条件で契約が結ばれることが多い。)

  


但し、経年変化、通常の使用による損耗等の修繕費用は、賃料に含まれるものとしています。
たとえば、

・ 日照などで生じた床や壁紙の黄ばみ・変色
・ 壁に張ったポスター等による変色
・ 家具を置いたことによる床の凹みや設置跡
・ テレビや冷蔵庫を置いたことによる壁紙の黒ずみ(電気焼け)

このように、日常生活において避けられない物件の傷や汚損、自然の経年劣化などは、貸主の負担となります。



居住年数の考慮


ガイドラインでは、賃借人の故意又は過失によって建物を毀損して賃借人が修繕費を負担しなければならない場合であっても、居住年数が多いほど負担割合を減少させる(「物の価値は年数の経過によって減少していく」)という考え方を採用しています。例えばクロスやカーペットなど、借主が負担すべき張替え費用も下がっていく(新品時を100%として、毎年約16%の割合で減っていく)ことになります。



退去時の清掃費用についての特約


専門的な業者によるハウスクリーニング費用に関して、ガイドラインでは貸主の負担であるべきという考え方ですが、現状では、賃貸借契約において、あらかじめハウスクリーニング費用を退去時に敷金から引く旨を明記しているケースが一般的です。

一般的な清掃費用: 1㎡あたり1,000円~1,200円及び消費税

 

 

退去時の現況確認、敷金精算の流れ


一般的に、入居時には、不動産業者立会いで現況確認書に既存の傷や汚れを記入し、貸主・借主がサインをします。
退去時には、借主・貸主・不動産会社立会いで、入居時の現況確認書を元に、入居後に発生した傷や汚れを確認します。
その後、貸主指定のリフォーム業者が、原状回復に必要な工事の見積もりを出して、その見積もりを元に、上述の要件が考慮され、貸主負担額、借主負担額が決定されます。
双方が負担額について合意すれば、敷金から原状回復費用と清掃費が差し引きかれ、残額が返金されます。

 

トラブルを未然に防ぐために


入退去時における損耗等の有無など物件の状況をよく確認しておくことや、契約締結時において、原状回復などの契約条件を当事者双方がよく確認し、納得したうえで契約を締結するなどの対策を的確にとることが大切です。