外国人の相続対策、日本で遺言を作成する6つのメリット

Poste date: 2019年6月20日

昨今、外国人の方で、日本に不動産を所有される方が増えています。日本人の配偶者がいれば、配偶者の方が相続制度について説明をしてくれるかもしれませんが、居住用ではなく投資又はレジャー用で日本の不動産を購入される外国人の方々は、ご夫婦、お子様全員が日本人ではないというケースがほとんどで、日本の相続についての情報を得る場がないのが現状です。また、日本の法律家の多くが英語を話すことができないため、外国人の方に対して、相続対策を勧めることのできる人材はほとんどいないといっていいでしょう。ですが、日本人であろうと、外国人であろうと、相続は避けて通れない問題です。

そこで、本記事では、日本の相続制度、日本に不動産を有する外国人の相続対策、英語対応の相談窓口についてご説明致します。


日本の相続制度


ご存じの通り、相続が発生した際に、財産がどのように承継されるかは、法律によって規定されています。しかし、国によって法律は当然違います。自国での相続手続きを知っていらっしゃると思いますが、では、いったい日本の相続とはどういったものなのでしょうか?

相続人は、相続開始の時(被相続人の死亡の時)から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する(896条)

つまり、日本では、相続が発生(被相続人が死亡)した場合、自動的に及び相続発生と同時に、相続人が、被相続人の負の財産及び正の財産を全て承継することになります。

 

法定相続分(遺言がない場合)


ほとんどの国々において相続が発生した場合、誰がどのような割合で被相続人の財産を相続するのかが法律上決まっています。日本だと、例えば、夫婦に子供2人がいるケースでは、一方の配偶者が亡くなった場合、配偶者が2分の1、子供が2分の1(各4分の1ずつ)の法定相続分を有します。

子供がいない場合で、配偶者と被相続人の親がいるときは、配偶者3分の2、親が3分の1の割合で相続します。

相続発生時に子供も親もいないが、兄弟姉妹がいるという場合は、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1の割合で遺産を相続します。

しかし、多くの場合、相続分が定められていても、「遺産分割協議」を行い、具体的に、不動産Aは相続人Aが、不動産Bは相続人Bが相続するというように、法定相続人全員の同意を条件に、誰がどの財産を相続するのかを相続発生後に決定することができます。

プロベイト(Probate


ここでは、日本の相続にはないプロベイトを軽く説明します。各国によってプロベイトがどういった手続きとなるかは細かくは異なりますが、プロベイト制度は、簡単に言うと、遺産を法律の手続きに基づき、管理及び清算する手続きです。遺言で指定された遺言執行者もしくは、裁判所が選任した遺産管理者(人格代表者という場合もあります)が遺産を集め、財産目録を作成、遺産を管理、債権者に被相続人の債務を返済し、税金の申告をします。この手続きには1年から3年のように長期にわたって手続きが行われることもあります。

※自国でプロベイトが行われているか、手続きの詳細については、自国の専門家にお問い合わせください。




日本に不動産を所有している外国人が日本で遺言を作成する6つのメリット


 ※日本の財産のみを対象として遺言を作成します。
 

① 相続の準拠法が外国法になる場合の外国法の調査が不要

国際相続問題には、各国の国際私法に従い、まず初めに準拠法を決定する必要があります。ただし、遺言を作成した場合、少なくとも日本では遺言に従い相続手続きを行うことになるため、国際私法・準拠法等のややこしい概念を理解する必要がありません。
 

② 相続の準拠法が日本法の場合における相続人間の遺産分割が不要

遺産分割が必要になる場合、相続人全員の同意が必要になるため、相続人全員を調査しなければなりませんが、相続人が日本以外にいる場合は、日本の不動産に関する相続手続きをについては日本の専門家に依頼をしなければならないにもかかわず、専門家と相続人のコンタクトが難しいもしくは、不可能であることにより、遺産分割ができずに、相続手続きが進まない可能性があります。

③ 相続人全員の証明を省略できる

相続で時間がかるのが、相続人の証明です。遺言があれば、基本的には、遺言で指定された相続人だけで手続きをすすめることができます。しかし、遺言がない場合、法定相続人全員に相続分があるため、まず、相続人全員の存在の証明をしなくてはなりません。日本では戸籍制度があり、日本人の出生から死亡までの家族構成を公的書類によって証明する手段がありますが、同じように戸籍制度を採用している国はほとんどなく、不動産相続登記の際は、婚姻証明書や出生証明書を取得し相続人であることを証明します。しかし、それだけでは相続人全員を証明したことにはならないため、判明している相続人がほかに相続人がいないことを証する書面を作成しなければなりません。

④言語のハードルを下げることができる

日本人で相続の専門知識を持ち、かつ、英語が話せるという専門家はほとんどいません。外国人の相続人にコンタクトをとる際には、主に英語を使用することになります。遺言がなく、相続人全員に連絡を取るような場合、日本の相続について説明をします。また、遺産分割をする場合は、相続人全員の同意を取り付けなければならないため、高度な語学力を必要とします。その場合、相続人は相応の時間と費用を要します。

⑤日本の裁判所、登記官その他公的機関の国際相続への理解不足による不利益を避けることができる。

日本で英語を話す専門家がいない理由の一つとしては、英語を今まで話す必要がなかったという理由が挙げられます。同じ理由から、外国人の不動産保有が増えているにもかかわらず、公的機関が国際相続について十分に理解できていない状況が発生しています。公的機関は、基本的に日本の法律やルールに従って業務を行っているため、決まったルールがあまり整備されていない国際相続については、担当者レベルの個別対応が行われています。遺言があれば、遺言の記載事項に従うだけなので、担当者が迷う余地を最小化することができます。

⑥日本での手続きをスムーズに行うことができる。

外国で遺言を作成したとしても、外国での相続手続きに遺言を使用しなければなりません。プロベートでは遺言書を提出しなければならないため、もし手続きに1~3年もかかってしまう場合は、日本の手続をストップせざるを得ない可能性があります。ですが、日本で、日本の不動産を対象とした、日本語の遺言を作成すれば、スムーズに相続手続きを完了することができます。


遺留分


遺言を作成した場合、懸念事項として、遺留分があります。兄弟姉妹以外の法定相続人は遺留分を有しており、親のみが法定相続人になる場合以外は、各法定相続人の法定相続分の2分の1相当の財産権を主張することができます。ただし、日本の法律で規定される遺留分を請求できる元となる財産は、日本法を準拠法とするものに限られます。また、原則として、1年間権利を行使しなければ、遺留分を行使できなくなります。

まとめ


遺言を作成せずとも、亡くなる方は困ることはありません。困ることになるのは、残されたご家族です。それほど時間を要しない遺言の作成を面倒くさがることで、残された旦那様、奥様、子供、ご両親、、兄弟姉妹が多大な時間と費用をかけなければならないことになるのです。もし、大切なご家族がトラブルに陥ることのないよう対策をなされたいということであれば、外国人の方であっても事前に英語対応の司法書士事務所等に相談することをお薦めさせていただきます。 

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